どんなに、上手に楽器を演奏しても、たとえプロのレベルで演奏していても、その楽器や音楽に興味のない人にとっては、楽器演奏の音が騒音となる可能性が有ります。
また、普段は気にならない音量、音質だったとしても、人それぞれの気分や体調、時間帯によって、我慢ができないくらいの騒音だと感じるときもあるでしょう。昼間だからいいということも有りません。夜勤明けで疲れて帰ってきて昼間に寝ている人もいるでしょうし、妊婦さんの中には、つわりがひどくて、昼間から横になっている人もいるでしょう。
そして、音量が小さければ、迷惑にはならないと決めてかかるのも危険です。小さな音でも、長い間こつこつと一定の音がなっていれば、気になる人には気になる可能性すらあります。寝ている人にとっては、音が小さくても、床や壁の振動がいやな人だっています。
そんな楽器演奏における騒音対策の解決策として、防音パネルというものがあります。今回は、防音パネルについて解説をしていきたいと思います。
1. 手軽に設置できる防音パネル!自分でできる防音対策!
自分でできる防音対策として、防音壁や防音パネルというものが有ります。防音壁や防音パネルというのは、文字通り、防音対策として壁やパネルを設置したり、既存の壁に手を加えたりすることで防音対策をしていくことです。
防音壁や防音パネルの最大のメリットは自分で防音対策ができるため、費用の面で非常に安く上がることです。また、自分でできる防音対策のため、業者を選んだり、工事の間の生活の不便などが有りません。マイペースでできて、しっかりと防音効果を得られる優れものなのです。
それでは、具体的に防音壁、防音パネルについて解説をしていきたいと思います。
1-1. 防音壁、防音パネルの素材とは?
防音壁、防音パネルと一言で言っても、実はいろいろな種類があります。壁に何重にも防音素材を貼り付けるような大掛かりな防音パネルも有りますし、逆に素人が壁に貼り付けるだけで防音対策ができる簡単な防音パネルも有ります。
今回、ここでみなさんが興味をお持ちなのは、たぶん簡単で素人でもできる防音壁、防音パネルについてでしょうから、それに限って解説させていただきます。
防音パネルにもメーカーや商品の違いによって、厚さや素材は様々ですが、素人でもできる防音壁、防音パネルは、遮音シートという感じの素材でそれほど分厚くないことがほとんどです。木材のように重たくて硬いものではなく、5センチくらいの厚さだと考えてください。
防音パネル、防音壁という名前からごついものを想像していた人もいるかもしれませんが、実際には分厚い壁のクロスくらいの感覚でいいでしょう。そして、防音壁、防音パネルの素材ですが、分厚いクロスの中に、うすい金属のシートが入っているものや、ガラス繊維を編みこんであるものなどが有ります。入っている素材によって、防音性能が違ったり、値段が変わってきたりします。
1-2. 防音パネル、防音壁の色や雰囲気は選べるの?
画像引用:楽天
最近は、壁紙となる表面の仕上げや色を選べることが有ります。防音パネル、防音壁だからといって殺風景な部屋になってしまうという心配もありません。
防音壁・防音パネルを使ったお洒落なお部屋の事例をご紹介させて頂きます。是非、自分らしい好みのお部屋へとアレンジを行って頂ければと思います。
case.1 壁に貼り付けるお洒落な防音パネル
画像引用:YAMAHA
防音パネルを取り付けることで、音場的にもより良い環境となり、長時間演奏をしても疲れないといったメリットがあります。このケースでは10畳の部屋に7枚の防音パネルを取り付けています。枚数を増やすことで効果も上がりますので、ご自身の求める音場環境に併せて適切な枚数を設置して頂くことをお勧めします。
case2. 学習教室の壁に使用される防音パネル
画像引用:株式会社静科
楽器以外にも子供の声にも効果的です。白と青のコントラストの防音パネルを用いることで、落ち着いた雰囲気を出すことができ、勉強に集中できる環境を作り上げています。実際に部屋に設置した画像を見て頂くと、防音パネルによって部屋の雰囲気がガラッと変わったことが一目瞭然かと思います。
1-3. 防音パネルの設置方法!防音パネルは素人でも本当に設置できるのか?
防音パネルが簡単に設置できて、効果的な防音対策になるときいても、本当に素人でも設置ができるのか、設置は簡単にできるのかという心配はなかなか消えないと思います。
そこで、防音パネルの実際の設置方法についてみていきましょう。防音パネルと一言で言っても、メーカーや用途、目的とする防音効果の大小などにより、色々なタイプの防音パネルが有ります。
しかし、どの防音パネルにおいても、楽器演奏に必要な防音対策であれば、素人でも簡単に設置できる防音パネルが販売されています。そして、防音パネルの種類だけでなく、防音パネルの設置方法も、細かい点では違いあります。
ここでは、防音パネルの中でも、簡単な設置方法を売りとしている防音パネルについて解説します。
◆ジョイナーを使った防音パネルの設置方法!
引用:防音専門ピアリビング
防音パネルの設置で、比較的簡単なのは、壁に直接ジョイナーという防音パネルをはめ込む部材を取り付ける方法です。防音パネルをジョイナーという部材により、壁に固定するのです。
ジョイナーとはコの字型の塩ビ製の部材で、色々な厚さや大きさが有り、ネットや工務店、ホームセンターなどで手に入ります。基本的には、防音パネルを購入したときに、同じところでセットで購入するのがいいでしょう。
ジョイナーを両面テープなどで壁に貼り付け、そのジョイナーのコの字型の部分に防音パネルをはめ込んでいくだけで、でき上がりです。ジョイナーを部屋の高さや大きさに切るのが大変なだけで、あとは両面テープで貼り付けるので、素人でも簡単です。
もし、壁に直接両面テープを張るのに抵抗があれば、壁にはマスキングテープなどを貼ることで、両面テープをはがすときに壁を傷つけずにすみます。マスキングテープをはがすときには壁を傷つける可能性が有りますが、両面テープだけの場合よりも安全なのでお勧めです。
◆突っ張りポールを使った防音パネルの設置方法!
引用:防音専門ピアリビング
ジョイナーの代わりに、突っ張りポールを使って防音パネルを壁に設置することも可能です。突っ張りポールとは、突っ張り棒の大きなものと考えてください。突っ張り棒は、一本の棒ですが、突っ張りポールは2本の突っ張り棒がセットになっていて、間にメッシュのパネルがついているものです。
この突っ張りポールを壁に設置し、それに防音パネルをくっつけるだけですので、壁にテープをつけたりすることがなく、場合によっては、賃貸マンションなどでも気を使わずに設置が可能です。
1-4. 防音パネルはカットして使うの?
防音パネルにも色々な大きさや材質が有り、商品によっては、防音パネルをカットして使うことも可能です。しかし、防音パネルは防音効果を維持するためにそれなりの厚さを持っていることが多く、また素人がカットすると防音効果の減少を招く恐れが有ります。そのため、できる限り防音パネルはカットせずに使うことをお勧めします。
防音パネルは、受注生産で行っているところが多いため、大きさを指定しての購入や、カット加工をしてもらうことが可能な場合が多いです。多少、料金がかかっても、カット加工をしてもらい、サイズをあわせて購入する方がいいと思います。
1-5. 防音パネルの防音効果について
素人でも簡単に設置できる防音パネルが存在することは分かっていただけたかと思います。しかし、肝心の防音効果についてはどうでしょうか。簡単に設置できる防音パネルでは、防音効果が弱く、思う存分楽器演奏ができないのではないかと心配になってしまいますよね。
防音パネルの防音効果は、当然防音パネルの種類、質により変わってきます。しかし、最近の防音パネルは、技術的な進歩が目覚しく、簡単に設置できるタイプの防音パネルでも、しっかりとした防音効果を持っています。
それでは、実際に防音パネルでどれくらいの防音対策となるのでしょうか。防音パネルは当然ですが、防音設備を完備した防音マンションほどの防音効果は期待できません。また、業者が施行してくれる防音室などよりも効果は落ちます。しかし、楽器演奏の音で近所からの苦情が出ない程度にすることは可能です。
ネットなどでそれなりの値段で購入できる防音パネルの場合、15~20デジベルくらいの防音効果をうたっていることが多いです。この15~20デジベル程度の防音効果というのは、人の話し声の内容を聞き取れなくするくらいの効果でしか有りませが、生活する空間では暗騒音と呼ばれる生活音が静かな状態でも30デジベルくらい出ています。つまり50デジベルくらいの音を防ぐという形となりますので効果はそれなりにあると言えます。
楽器演奏が24時間可能な防音マンションの場合は、だいたい70デジベル以上の防音効果をうたっていることが多いです。楽器演奏が24時間可能なのですから、かなりの防音効果となります。こういった防音効果の実際の数字を頭に入れた上で、購入を検討する防音パネルの防音効果の数字を問い合わせてみてください。そうすれば、かなり自分の目的に合った防音効果を期待できるのではないでしょうか。
1-6. 防音パネルの値段とは?防音パネルはいくらいかかるのか?
防音パネルは、どれくらいの値段で購入できるのでしょうか。自分で取り付けられる防音パネルは、非常に安い値段のものから、それなりにかかるものまで様々なものが販売されています。
そして、当然ですが防音パネルの防音効果はお値段に比例することが多いです。高い防音パネルには、それなりの防音効果が見込まれます。逆に安い防音パネルであれば、高い防音パネルに比べて防音効果が低くなる傾向にあります。
しかし、業者に作成してもらう防音室などに比べれば、圧倒的な安い値段で防音パネルは購入できますので、それぞれ必要な防音効果を見定めて、それなりの値段の防音パネルを購入してください。
子供部屋などの壁に貼り付けるだけの防音シートタイプですと、50センチ四方くらいで1000円くらいという驚愕のお値段でも売っています。ただ、これくらいのお値段のものははさみで簡単に切れるタイプですので、防音効果もそれなりとお考えください。しかし、念のため防音対策をちょっとしてみようという程度であれば、こういった安価な防音シートから試してみるのもいいかもしれませんね。
◆ピアリビング ワンタッチ防音壁
画像引用:防音専門ピアリビング
サイズは900mm×900mmで、ビニール調クロス仕上げなら12,000円+税金、高級布クロス仕上げなら14,000円+税金で販売されています。壁のサイズを事前に知らせると、そのサイズに合わせてカットした物が送られてくるので設置がとても簡単です。
◆ドリックス フェルメノン
画像引用:ドリックス
600mm×800mmで2,754円(税込)という安価な価格で購入できます。カラーバリエーションも豊富に揃っているので、防音だけでなくお部屋の色合いにこだわりたい方には特におすすめの商品です。繊維を丹念に絡ませた高圧縮のフェルトボードなので細かな品質で非常に綺麗な仕上がりとなっているのが特徴です。
2. まとめ
防音対策には防音パネルが非常に有効な手段です。そして、防音パネルは、様々な種類、値段の商品が出ています。素人でも設置できる防音パネルでも、それなりに防音効果は期待できますので、ぜひ防音パネルの設置を検討してみてください。