楽器可マンションという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
一昔前までは、マンション等の共同住宅では静かに暮らすというのが前提で楽器なんてもってのほか!という時代でした。しかし、昨今ではマンションの部屋の中で楽器の演奏ができるという物件が増えてきています。ただ、楽器可物件と記載がされていても防音性能が優れているのか?自分の演奏したい楽器が演奏できるのか?等と、初めて楽器可マンションを探される方には分からないことがたくさんあります。
この記事を読んで頂ければ、防音性能の高い楽器可のマンションを見付けることができるようになります!
理想の音楽ライフの実現のために、是非この記事をお読みください。
1. 都内主要沿線の楽器可賃貸物件紹介
この章では、編集部が厳選する東京都内の防音性能が高い物件を紹介させて頂きます。
もし、楽器可マンションを探す際に迷われた場合は、ここに掲載されている物件を選んで頂ければ防音性能に関しては安心頂けます。
1-1. 山手線沿線
- サウンドプルーフ目黒(JR山手線「目黒」駅徒歩6分)
都内有数の高級住宅地「目黒」。4路線を利用できる利便性は勿論のこと、春には桜が咲き乱れる目黒川もあり風情を兼ね備えたお洒落な街です。
物件の防音性能は高く、壁や窓だけでなく天井や床も二重になっている物件です。立地と防音性能を気に入って、有名フルーティストの方等が音楽教室を開かれており、プロの音楽家にも満足を頂ける安心安全の防音物件です。
広い室内、宅配box、24時間いつでもゴミを出せるゴミ置場等、住環境としても充実した設備が揃っているのも特徴です。
外観
室内パース
最寄り駅 | JR山手線「目黒」駅 徒歩6分 |
部屋の広さ | 1K 約26.5㎡ |
賃料 | 約150,000円 |
築年数 | 平成29年3月竣工(築1年) |
演奏可能楽器 | グランドピアノ、ギター、木管楽器、声楽等 |
楽器の演奏時間 | 24時間演奏可能 |
お問い合わせ先 | ツナガルデザイン株式会社 TEL:03-6303-2384 |
●音楽の家+(JR山手線「西日暮里」駅 徒歩9分)
池袋や上野といったターミナル駅に近い西日暮里駅。5路線を利用できるため、どこに行くにも交通の便は非常に良いといえます。
永田音響設計監修(サントリーホール等の建築実績有り)で、リノベーションが行われた物件です。自分の部屋以外にも入居者が使えるlesson roomが2部屋あるという珍しい物件となっています。このlesson roomは、24時間楽器を弾くことが可能ですので、音大生の方のように長時間の練習環境が欲しいといった方にお勧めです。
写真引用:株式会社Rバンク
最寄り駅 | JR山手線「西日暮里」駅 徒歩9分 |
部屋の広さ | 1K 約25㎡ 1K+防音室 34.89㎡ |
賃料 | 1K 約100,000円 1K+防音室 約150,000円 |
築年数 | 昭和46年4月竣工(築47年) |
演奏可能楽器 | グランドピアノ、木管楽器、金管楽器、声楽等 |
楽器の演奏時間 | 9:00~23:00 ※lesson room 2部屋は24時間演奏可。 |
お問い合わせ先 | 株式会社Rバンク TEL:03-5464-2520 |
1-2. 日比谷線 沿線SHINKA(日比谷線「八丁堀」駅 徒歩5分)
- SHINKA(日比谷線「八丁堀」駅 徒歩5分)
日比谷線「八丁堀」駅徒歩5分の立地で、東京駅にも歩いて17分で行ける都内中心地にある防音マンションです。屋上にはスカイテラスがあり、地下には音楽ホール(35~45席)といった施設がありますので、多様な用途で利用して頂くことができます。
約4帖~5帖程度の防音ルームを備えつけているお部屋もありますので、少し広めの1LDKタイプの防音マンションを探されている方にお勧めの物件です。
ルーム
音楽ホール
写真引用:東急住宅リース株式会社
最寄り駅 | 日比谷線「八丁堀」駅 徒歩5分 |
部屋の広さ | 1LDK 約38㎡~47㎡ |
賃料 | 1LDK 約16万円~23万円 |
築年数 | 平成29年12月(築1年未満) |
演奏可能楽器 | グランドピアノ、木管楽器等 |
楽器の演奏時間 | 詳細不明。 |
お問い合わせ先 | 東急住宅リース メール問い合わせのみ |
●サウンドプルーフ中目黒(日比谷線「中目黒駅」徒歩6分)
人気の中目黒駅にある防音物件です。1Kだけでなく1LDKの部屋数も多くあるため、1室をレッスン室にして使いたいといった用途に最適な防音マンションです。
中目黒に東京音楽大学が移転するため練習時間を確保したい学生の皆様にとっては、24時間演奏ができる住居で学校の側という環境は素晴らしい物かと思います。
外観
リビングルーム
防音体験モデルルーム
最寄り駅 | 日比谷線「中目黒」駅 徒歩6分 |
部屋の広さ | 1K 約25㎡ 1LDK 約35~40㎡ |
賃料 | 1K 約15万円 1LDK 約20万円 |
築年数 | 平成28年3月(築2年) |
演奏可能楽器 | グランドピアノ、木管楽器等、声楽等 |
楽器の演奏時間 | 24時間演奏可能。 |
お問い合わせ先 | ツナガルデザイン株式会社 TEL:03-3762-2130 |
1-3. 東急東横線 沿線
●サウンドプルーフpro目黒祐天寺(東急東横線「祐天寺」駅 徒歩12分)
こちらの物件は3重防音構造という形で、なんと生ドラムの演奏も可能となっている物件です!全ての楽器を演奏することができるという音楽家には夢のような物件となっており、日本屈指の防音性能があることは過言ではありません。
更に壁一面にはミラーが貼られているので、自分の立ち居振る舞いを確認しながら練習することができるため、練習の効率は大幅にUPします。
全部屋1LDKの作りで練習場所と寝室を分けることができるという配慮された設計で、快適な住環境としても使えるハイスペックな防音マンションです。
外観
エントランス
ルーム
最寄り駅 | 東急東横線「祐天寺」駅 徒歩12分 |
部屋の広さ | 1K 約26㎡ 1LDK 約35㎡ |
賃料 | 1K 約13万円 1LDK 約18万円 |
築年数 | 平成30年3月(築1年未満) |
演奏可能楽器 | 生ドラム、金管楽器等。全ての楽器演奏可能。 |
楽器の演奏時間 | 24時間演奏可能。 |
お問い合わせ先 | ツナガルデザイン株式会社 TEL:03-3762-2130 |
●GrandStory自由が丘(東急東横線「自由が丘」駅 徒歩6分)
元々、音楽スタジオだった物件をシェアハウスに改築したのがコチラの物件です。音楽スタジオをそのまま残しているので各居室では楽器演奏ができませんが、音楽スタジオ内で思いっきり演奏を楽しむことが可能です。また、録音等にも対応しているハイスペックなスタジオですので、レコーディング等の用途にも活用ができるのが特徴です。
若者に人気の自由が丘徒歩圏で、築年月も浅い綺麗なシェアハウスなので住環境もバッチリです!
エントランス
ルーム
スタジオ
写真引用:株式会社フェイスネットワーク
最寄り駅 | 東急東横線「自由が丘」駅 徒歩6分 |
部屋の広さ | 1ルーム 約7.1帖 |
賃料 | 1ルーム 約110,000円 ※スタジオは1時間1,500円~ |
築年数 | 平成3年3月(築25年)※リノベーション物件 |
演奏可能楽器 | 生ドラム、金管楽器等の楽器演奏可能(スタジオ内のみ) |
楽器の演奏時間 | 24時間演奏可能。 |
お問い合わせ先 | 株式会社フェイスネットワーク TEL:03-6447-0637 |
2. 楽器可物件の防音性能を見極める方法6選
インターネットで検索を掛けると楽器可という物件は色々と出てきますが、本当に防音性能がしっかりとしているのか?と疑問に思う人も多いかと思います。
楽器を演奏する人の悩みは周囲から聞こえてくる音ではなく、自分が出している音が周囲に迷惑を掛けていないか?と気にされる不安が圧倒的多数を占めています。この章では防音性能の簡単な見極め方をご紹介させて頂きます。
2-1. 楽器相談物件と楽器可物件の違い
楽器相談物件 | 楽器を演奏できるという環境は整っていない。 |
楽器可物件 | 楽器の演奏ができる環境は備わっている。 |
楽器相談の物件は、楽器の演奏をする際に相当な制限が掛かると思って頂いた方が良いです。よくあるパターンとして多いのが演奏できるのはお昼間の時間帯だけといった形、あるいは楽器を持ち込んで置いておくだけなら大丈夫ですといった形です。勿論、音に関する苦情等は入居者自身で対処して下さいといった形となっているので、とても安心して楽器の演奏ができる環境ではありません。楽器相談の物件を検討する際には、必ず担当者に本当に演奏ができるのか?ということを念入りに確認しましょう!
楽器可物件は、楽器相談よりも確実に楽器の演奏ができます。注意点としては、演奏はできるが防音ではないという物件も数多くあるという点です。音を出すのはお互い様なので皆さん我慢しましょうというスタンスの物件が代表的です。特にそういった物件は音大周りに多くある傾向となっており、賃料が少し安いなと感じられた際には音が聞こえても我慢しましょうという物件の可能性が高いです。
2-2. 物件の構造をチェック
物件の構造は大きく分けると「木造」・「鉄骨造」・「鉄筋コンクリート造(RC)」の3種類に分かれます。一般的に遮音性能は、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造の順に大きくなりますので、遮音性能が高い物件を求めるのであれば「鉄筋コンクリート造」の物件を選びましょう。
構造 | 遮音性能 |
木造 | 一般的な仕様の木造住宅では、遮音性能はD-25程度で、L値は75程度となります。 |
鉄骨造 | 一般的な仕様の鉄骨造住宅では、遮音性能はD-40程度で、L値は65程度となります。 |
鉄筋コンクリート造 | 一般的な仕様の鉄骨造住宅では、遮音性能はD-50程度で、L値は50程度となります。 |
※L値:衝撃音の大きさを表します。L値は等級の数値が小さいほど遮音性能は優れています。
※D値:遮音性能の大きさを表します。D値は大きいほど遮音性能は優れています。
参照:JP home株式会社
2-3. 壁や窓(サッシ)が二重になっているかを確認
画像引用:有限会社丸正屋
上記の図を見て頂くと、既存の外窓だけではJIS遮音等級T-1(25dB相当)しかありません。例え、コンクリート造で防音性能が50dBあったとしても、窓がこのように防音性能が弱いと楽器演奏等を行った場合、周囲や近隣へ音漏れがでることは確実です。
一方で、既存の窓に内窓を付けた場合には遮音性能が飛躍的に上がっております。JIS遮音等級T-4(40dB相当)をクリアする性能になり、窓を二重にすることで大幅に防音性能が上がる事が分かりました。
このように2-2で紹介させて頂いた躯体構造だけでなく、物件選びの際には窓にも着目して頂くとより高い防音性能の物件を選ぶことが可能となります。
2-4. 楽器の演奏時間
楽器の演奏時間の制約に関しても、物件の防音性能を見抜く要素が含まれています。
物件A | 演奏時間 12:00~18:00 |
物件B | 演奏時間 9:00~23:00 |
上記のような物件AとBを比較した場合、防音性能が高いのは物件Bという可能性が高いです。物件Aの場合、演奏時間が日中で人が家にあまりいない時間(仕事等に行っている時間)に設定されています。極力、人が少ない時間を設定することで音のクレームを防ごうという目的かと思われますが、こういった物件は防音性能が低いことを表しています。
※演奏時間が長いからといって一概に防音性能が高いとは言い切れない部分もあります(音を出すのはお互い様なので我慢しましょう!といった物件の場合等)。一つの指標として捉えて頂くと良いかと思います。
2-5. 演奏できる楽器の種類
演奏できる楽器の種類によっても防音性能を見分ける判断ができます。ドラム等の打楽器に関しては演奏NGな物件がほとんどなので、打楽器系の演奏可否は気にされなくても問題ありません。
もっとも判断の付きやすいポイントは、グランドピアノの演奏可否です。アップライトピアノは可能ですがグランドピアノの演奏は不可ですといった物件は防音性能が低いと判断して頂く一つの材料となります。同じピアノでも、アップライトとグランドでは音の大きさが全然違います。普通のRC(鉄筋コンクリート)マンションの場合、アップライトの演奏は時間制限を設ける等を行えば可能となるケールもありますが、グランドピアノの音はまず止めることができません。
ここまでは物件を探す段階で中々調べることができないかもしれませんが、物件を正式に決める前には是非ともご確認を頂きたいポイントです。
2-6. 物件の築年数
物件の築年数も重要な判断材料の一つです。築年数が古い物件で楽器OKというのは、入居者を確保するために楽器演奏可と無理矢理設定している物件が多く見られます。楽器演奏を許可すれば、市場にある普通の物件と差別化が図れると考えられての対応なのでしょうが、当然防音性能は低く満足できる演奏環境とはいえないでしょう。基本的に築年数が古い物件は防音性能が低いと認識して頂いて問題無いかと思います。
※リノベーション物件として、防音対策をしているという物件であれば上記のケースは当てはまりません。
3. 編集部の経験を伝えたい!楽器可賃貸物件トラブル対応事例
楽器可の賃貸物件に入居したことが無い方は、騒音のトラブル等はどういった感じになるのだろう?という形で不安に思われる方も少なくないかと思います。この章では、実際に編集部が対応した騒音問題等のトラブルをご紹介させて頂きます。
3-1. 音のクレームを個人で解決することは難しい
賃貸契約書や重要事項説明書に、音のクレームが発生したら入居者間で解決をして下さい。という一文が入っている契約書を良く見かけます。事項で詳しく説明をさせて頂きますが、入居者が音の問題を解決することはまず不可能です。
直接、隣や上下の部屋のインターホンを鳴らして注意をするというのは、入居者の方にとって相当ハードルが高いと思います。また、ルールを守っているのか?という話においても当事者間ですと感情的になってしまう恐がありますし、そもそも当事者がルールを正確に認識できていないという場合もあります。
騒音クレームは非常にデリケートな問題ですので、当事者間ではなく第三者がしっかりと間に入らないことには解決に至ることは難しいです。
3-2. 音の発生源は上下左右に限定されない。
上記の図は過去に体験した騒音クレーム事例です(部屋番号は仮の番号です)。
通常、403号室からのクレームが発生した場合、303号室・402号室・503号室の隣接住戸が騒音発生源と捉えるのが一般的です。
音がいつ聞こえるか?どういった音なのか?を403号室の方にヒアリングを行い、その後隣接住戸に確認を取ったのですが、その時間帯に不在だったり演奏楽器でクレームのような音が出ない楽器を演奏していたりで原因が突き止められませんでした。その為、調査する部屋を広げていった所、302号室の方からも少し音が聞こえた気がするというお話を頂けたため、騒音発生源の301号室にたどり着くことができました。
このように、音は上下左右だけでなく、建物の躯体を伝わって遠くに届くこともありますので、壁から音が聞こえるからといって隣の部屋!と断定してしまうのは危険です。
3-3. 個人の聴力差が大きく影響する
前項で紹介した事例もそうですが、音の問題において一番重要なことは個人の聴力差です。普通の人が聞こえない音が聞こえる人、あまり周囲の音が気にならない人等、最後はその本人次第ということが非常に多いです。前項の事例でも403号室よりも、302号室・401号室の方が音的には大きく聞こえていたはずです。音が発生している時間にいなかった等のタイミングの問題もあるかと思いますが、人それぞれ聴力が違うということだけは覚えておいて頂くことをお勧めさせて頂きます。
ですので、防音物件を選ぶ際にはしっかりとルールが決められている(どれくらいの音を出しても良いかというのが客観的数値で表されている)物件を選ぶべきです。音のルールは自分の正当性を守るという点においても非常に重要な要素となるからです。
4. まとめ
楽器可の賃貸マンションは色々とありますが、本当に防音性能が高く安心して音楽を楽しめる物件の数はまだまだ少ないのが現状です。築年数の古い物件が周囲との差別化を図るために楽器演奏を可として広告を出していたりしますので、しっかりと防音性能があるかどうかの確認をしてから入居して頂くことをお勧めします。